各診療科における研修到達目標と研修内容(方略)

到達目標 研修内容(方略) 研修医の声(評価)
救急

総合診療科
  • 12週の必須研修で、一般的な救急対応および重症疾患の初期対応ができるようになることを目標とします。
  • 24週の研修で全科当直における初期対応ができるようになることを目標とします。
  • 日中の救急搬送患者対応と午後の全科診療(小児科・産婦人科等を除く)を行います。県内医療機関の中でも救急搬送件数が多く、経験できる2次救急症例は極めて豊富です。
  • 研修期間1ヶ月のおおよその経験症例
    救急搬送30-50例、ウォークイン20-30例、心肺停止症例1-3例、入院加療が必要な症例20-30例、入院受け持ち10例程度、主な疾患は脳血管障害や循環器系疾患(急性心筋梗塞、心不全)、感染性疾患(肺炎・尿路感染・皮膚感染症)、外傷・骨折、消化器疾患(消化管出血、胆道系疾患)、めまい・失神、電解質異常など
  • 問診から、診察、検査計画を立て、診断から初期対応、そのまま入院加療を担当することも可能です。
多様な主訴で来られる患者さんの初期対応を行います。上級医にレベルを常に確認いただきながら、検査オーダー、診断、他科への引き継ぎや患者さんへの説明など次第に任される範囲が増えていきます。一ヶ月に経験する症例は50症例を超えます。日中のCPA症例は研修医が全員呼ばれるシステムであり、役割分担しながら対応に当たります。

研修医1年目経験症例
救急・総合診療科 >
内科
  • 多くの情報から診断を導き出すスキルを身に付けること、また、チーム医療を推進することができることを目標とする。
  • 多職種間で協議する上で、その場のリーダーシップをとることを目標とします。
  • 総合的に、問診、検査、診断、治療・修正、結果までを完結できることを目標とします。
  • 各検査部門での実習(臨床検査、生理機能、超音波検査など)により基本的な手技を身に付け、コ・メディカルスタッフとのコミュニケーション協力が行えるようにする。
  • 医師事務補助者をはじめ、コ・メディカルとの役割分担を積極的に行っているので、各スタッフから収集された多くの医療情報を整理分析して、診断を導き出すスキルを養う。
  • 患者さんの心理、社会的側面や家族関係を含め幅広く考慮しながら、地域包括医療を行っており、多職種でひとつの方向へ向けたチーム医療を実践できる。
  • 当院の一番の特徴である豊富な救急症例から多彩な問題を持つ症例を経験、他科連携を学ぶことができる。また、他科症例の内科的問題への対応も学ぶ。
  • サブスペシャリティーについては要相談
最初は内科全科の入院患者を担当します。肺炎や心不全など頻度の高い疾患から、研修医の興味や進路にあわせて様々な疾患を経験できます。看護師、リハビリ、検査技師などコ・メディカルスタッフと多職種的にコミュニケーションをとりながら問題解決能力を養います。
上級医ごとに進め方は様々ですが、落としどころを探りながら患者さんを受け持ちます。
外科
  • 1ヶ月の必須研修では、切開、結紮・縫合処置ができるようになることを目標とします。
  • 3〜6ヶ月の選択研修では、上下部消化管内視鏡検査ができるようになり、また手術においては、スコーピストとしてだけではなく、術者として開腹や閉腹、鼡径ヘルニア、虫垂炎、胆石症などの手術を経験することを目標とします。
  • 幅広く様々な一般・消化器疾患や乳腺・甲状腺疾患などの入院診療や手術などを経験することができます。
  • 年間約350例(うち全身麻酔 約300例)の手術を行っており、研修期間中はほぼすべての手術に参加することが可能です。
    主要手術症例 >
  • 特に大腸癌(結腸・直腸癌)や胆石症、虫垂炎、鼡径ヘルニア手術の際には、その多くで腹腔鏡を用いた鏡視下手術を行っており、当科での研修期間中は、主にスコーピスト(カメラ助手)として手術に参加し腹腔鏡手術を体験していただき、また病院内にあるドライボックス(腹腔鏡トレーニングボックス)を使用し、手術器具の扱いに慣れていただくこともできます。
様々な一般・消化器疾患などの入院診療を上級医とともに担当し、全例の手術に参加します。必須研修では基本的な結紮・縫合処置、スコーピストを任されます。研修医室内に結紮・縫合のトレーニングキット、また院内に腹腔鏡のトレーニングボックスがあり、それらで修練を積むことも可能です。
小児科
  • 4週の必須研修で一般小児科診療、予防接種、末梢ルート確保が行えるようになることを目標とします。
  • 12週の研修で喘息・腸炎・肺炎の入院加療の担当を行えるようになることを目標とします。
  • 地域小児医療を学ぶ
  • 乳児健診、予防接種、発達について学ぶ
  • 感染症の患者を中心に外来・入院加療について学ぶ
一般小児科診療を見学し、小児・保護者との関わり合い方や疾患に対する処置を学びます。健診外来や予防接種外来もあり発達やアレルギーに関しても知識を深めることができます。感染症などの入院加療についても学びます。末梢ルート確保を経験可能です。
産婦人科
  • 4週の必須研修で指導医と共に正常および合併症妊娠を含む周産期管理ができることを目標とします。
  • 地域の1/2近くの分娩を担当し、妊婦健診と異常妊娠の診断と治療を行っている。

【分娩件数】
 2018年度 204件(経腟155件・帝切49件)
 2019年度 162件(経腟109件・帝切53件)
 2020年度 130件(経腟 87件・帝切43件)
 2021年度 126件(経腟 89件・帝切37件)
 2022年度 143件(経腟100件・帝切43件)

  • 産婦人科救急の対応について習得する。
  • 婦人科良性疾患(子宮筋腫、子宮脱など)の手術療法(子宮鏡手術を含む)を行っている。
  • 婦人科悪性疾患は高次病院紹介例が多い。
  • 生殖補助医療は行っていない。
周産期管理では実際に腹部エコーで胎児計測を行い、発育を評価します。妊娠時期に応じた妊娠管理や合併症について知識を深めることができます。実際にお産に立ち会い、帝王切開術も見学します。婦人科疾患では問診で聞き逃してはいけないことや見逃してはいけない疾患への対応を重点的に習得することができます。
麻酔科
  • 4週の研修で気管挿管約30症例を経験し、救急外来および急変時に気管挿管が行えるようになることを目標とします。
  • 12週の研修で簡易な全身麻酔の導入・管理を上級医と共に行えるようになることを目標とします。
  • 4週の必須研修は当院を基本としますが、金沢医科大学病院での研修を選択できます。
  • 当院では気管挿管を行い、麻酔の導入・周術期の全身管理を学びます。(金沢医科大学病院では大学病院の研修内容に準じます。)

【麻酔件数】
 2018年度 1,520件(うち全身麻酔 875件)
 2019年度 1,576件(うち全身麻酔 1,020件)
 2020年度 1,291件(うち全身麻酔 905件)
 2021年度 1,353件(うち全身麻酔 856件)
 2022年度 1,372件(うち全身麻酔 841件)
手術に際して気管挿管・末梢ルート確保・胃管挿入などを行い、麻酔の導入、周術期の管理に関しても学ぶことができます。気管挿管約50症例を経験しますので、自信を持って気管挿管を実施できるようになります。希望によっては脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔、末梢神経ブロックを経験することも可能です。
精神科
  • 精神科的な診察の基本の習得及び代表的な疾患が理解できるようになることを目標とします。
4週の必須研修は加賀こころの病院で行います。 外来診療では新患の予診を取り、担当医へ簡単なプレゼンテーションを行った後に診療を見学します。診断のプロセスや診断基準、処方についても理解を深めることができます。入院診療では、認知症、気分障害、統合失調症、アルコール依存症の方を割り当ててもらい、担当医と相談しながら治療に参加します。
地域医療
  • プライマリ・ケアからリハビリテーション、さらに福祉サービスに至る連続した包括的な医療を理解するために、患者が営む日常生活や居住する地域の特性に即した医師の役割を理解し、地域医療を学ぶことを目標とします。
4週の必須研修は
珠洲市総合病院、市立輪島病院、公立穴水総合病院、公立宇出津総合病院、公立つるぎ病院の中から1箇所を選択し、4週間出向して僻地医療を体験します。
本院では内科外来の初診患者を上級医と相談しながら、問診、診察、検査、診断、治療と一連の診療を行います。研修医にファーストコールの体制で上級医と共に慢性期を含めた入院患者を担当します。診療所では定期通院の方の外来診療を行い、訪問診療、訪問看護、訪問リハビリでは患者さんの生活の場に出向いて、環境に応じた医療の提供について体感できます。
整形外科
  • 入院患者も50〜60名は常時おり、複数の受け持ち患者を持って、急性期から回復期・地域包括病棟への連携を通じて、治療からリハビリまでトータルなケアを実践できるようになることを目標とします。
  • 外傷診療の対応ができるように、指導医と共に関節穿刺・脱臼整復・創外固定などの処置を、指導医の元で手術を執刀することができるようになることを目標とします。
  • 外傷に伴うほぼ全ての骨折・靭帯損傷、膝や股関節などの変性疾患、脊椎・脊髄病変など、日常遭遇する整形外科領域の基本的な疾患にほぼ全て対応。
  • 外来では、オープンに新患を受け入れており、紹介患者、救急への対応など、全ての角度から外来対応を学ぶことができる。
  • ほぼ全ての手術に対応しており、年間500症例以上、整形外科医としての基本手技を十分に学べる環境にある。
  • 指導医と共に当直業務を行い外傷診療を身につける
初診外来を見学し、幅広い基本的な疾患の身体診察や検査も含めた初期対応について学ぶことができます。画像の見方や処置についても上級医から学ぶことができます。手術ではどこまで携わるかは希望を聞いて対応してもらえます。病棟での周術期管理やリハビリテーションにも参加することができます。
脳神経外科
  • 4~8週で急性期脳卒中、頭部外傷患者に対する初期対応、検査の立案と実行、手術助手、主治医として入院管理が行えるようになることを目標とします。
  • 地域における急性期脳卒中、頭部外傷が多く搬送される当院では、神経救急の初期対応を学ぶことができる。Primary Stroke Centerとして、治療のみならず、疾患リスク管理、リハビリテーション、退院までのプロセスのすべてに関わり学ぶことができる。
  • 脳神経外科手術に参加し、その適応を学び、救急処置、検査(脳血管撮影、髄液検査など)を通じて、疾患の知識・理解を深める。基本的な臨床的手技を習得する。
  • 認知症、脳ドック、神経リハビリテーションなど、地域ニーズの高い脳疾患関連事業にも知識を広げることができる。
初診外来では問診と神経診察を実際に行い、診療の見学のみならず上級医と相談しながら参加できます。もの忘れ外来ではHDS-Rの評価を行い、診療を見学します。手術では助手として役割をもって、穿頭血種ドレナージやシャント術等に参加します。適宜ちょっとした課題について文献を調べてまとめ、カンファレンスで発表する機会もあります。
耳鼻咽喉科
  • 12週の研修で当直で出会う鼻出血、めまい、扁桃炎、急性中耳炎などに対する適切な初期対応ができることを目標とします。
  • 基本的な耳鼻咽喉科の診療、検査、処置、手術手技を理解し上級医と共に診療にあたる。
  • 研修は主に外来で行い多数の症例を経験する。
  • 上級医と共に入院患者の診療にあたる。
 
皮膚科
  • 8~12週の研修で基本的な皮膚科一般の知識を身につけ、皮膚科外来で湿疹、白癬など軽症患者への対応ができること。中等度~重症皮膚疾患のトリアージができることを目標とする。
  • 当院初期研修カリキュラムの選択枠で皮膚科を選択することが可能である。当科は日本感染症学会連携研修施設および日本アレルギー学会アレルギー専門医教育研修施設であるため、特に感染症、アレルギー疾患などについて深く学ぶことができる。
  • 皮膚科臨床に必要な基本的知識、外来診療での手技(真菌検査、Tzanck試験、凍結療法、皮膚生検、ダーモスコピー所見、褥瘡や熱傷処置など)、救急対応(中毒疹、蕁麻疹、アナフィラキシー、皮膚縫合など)、他科からのコンサルテーション、病棟管理などについて広く学ぶ。
外来診療がメインとなり、視診で皮疹の性状を正しくとらえて記載するまでの診断の基本を教わることができます。一人で対応しつつ上級医と相談しながら外来診療を担当します。各種試験や凍結療法等を経験し、外用薬の使い分けが身に付きます。入院患者も含めて多くの外用療法(外用薬処置)や外科療法に携わります。
泌尿器科
  • 8週で尿路感染症に対する対応ができるようになることを目標とします。
  • 16週で排尿異常に対する基本的な対応ができるようになることを目標とします。
  • 一般的な泌尿器科疾患に対する基本的知識、検査、手術等を経験する。
  • 尿路感染症の治療、排尿異常等のcommonな疾患を数多く研修できる。
外来診療では腹部エコーで残尿や前立腺の測定、膀胱・腎瘻カテーテル交換を行い診療に参加します。排尿障害全般に関して、泌尿器科特有の処方について病状ごとに学ぶことができます。手術では見学が主ですが術後に尿道バルーンの挿入を毎回行います。尿管ステントやESWLについても助手として経験できます。
外科の主要手術症例数
  2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
ヘルニア 48(38) 62(54) 45(39) 63(57) 60(40)
虫垂炎 29(27) 37(34) 32(30) 34(33) 29(27)
胆嚢・胆管 47(42) 62(56) 45(39) 61(58) 41(38)
大腸(結腸・直腸) 65(44) 54(37) 53(38) 57(44) 43(30)
胃・十二指腸 17( 1 ) 15( 2 ) 14( 2 ) 13( 4 ) 12( 3 )
乳腺 14 10 10 11 19
全身麻酔 268(156) 297(192) 258(157) 304(203) 262(151)
総数 365 359 313 391 338

( )内は鏡視下手術症例数

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